元気夢工房

写真を中心に風景・花・ポエムを綴っています

乳がんと家族の想い

みなさま。こんにちは。
今日もみなさまのブログを拝見させていただきました。
数あるブログの中で乳がんについて投稿されている記事をみて私の母が乳がんになった時のことを家族目線で記していきたいと思います。
母の乳がんがみつかったのは2017年1月でした。母が入浴中胸を触診中に右乳房にしこりがあったと言いだしました。まさかと思い症状をよく聞いているとどうやらしこりがあることには間違いなさそうでした。しかし我が家の家系に癌患者はいません。なので脂肪の塊だと思いたかったのですが万が一の場合手遅れになるのを抑え早めに検査を受けるよう促し近所の病院で検査を受けました。まずは外科で診察をうけました。そし針生検、マンモグラフィー、エコー検査を受け検査室から出てきた母に「どうだった?」と尋ねると腕で✖を表し「極めて黒」といいました。外科医の画像診断から癌の可能性があるという事で紹介状と画像CDを渡され徳島大学乳腺科を受診しCT、生検、骨シンチグラフィー、PET検査などを受け診断を待ちました。入線外科の待合も混雑しており2時間ほど待たされ私も気が気でなりませんでした。母より私の方が動揺してしまい落ち着きなくウロウロしているうち母の順番になり検査結果をもとに乳がんであることを告げられました。ならばステージはと矢継ぎ早に質問する私を母が制止しゆっくりと話を聞いていました。幸に早期発見だったらしくステージはⅡaでした。先生にオペを進められましたが乳がん摘出手術は全身麻酔のためリスクが高いが治癒の可能性がありますと聞き母はうつむいたまましばし考え「手術をうけます」としっかりとした声でこたえました。それから手術に向けた日時や必要書類を受け取り一時帰宅となりました。病院へは汽車でいったので帰りの汽車の中で母は車窓を覗きながら何も話そうとしません。「なぜ私だけが・・・・」そう話します。「大丈夫やわ。ステージⅡなら治る可能性もあるし先生に任せたらだいじょうぶやけん」と言いましたが「そやな」といいうつむいたままで指をごそごそと動かしていました。帰宅後父に検査結果を報告し父もうなずきつつ「母ちゃんが決めたことだし、先生も大丈夫といってくれるんなら手術をうけたほうがええわ」と答えました。母は「ちょっと疲れ方から眠るわ「」といいつつも天井を見上げたまま寝ている様子はありません。しばしの間我が家は暗い空気が流れ明るく振る舞おうとしましたが乳がンという言葉が頭から離れる事はありませんでした。そして数日後手術に合わせて入院しました。手術までの数日私は毎日駆けつけ母の顔を何度も見つめたいました。87歳になった母が乳がんになりオペを受けるとは体が耐えきれるのか心配でまりませんでした。「痛くない?欲しい物ない?オペは絶対成功するから」と母にも自分にも言い聞かせていました。それから数日後いよいよ手術日という前日になり母の主治医がインフルエンザで休み事になったので私が代わりに執刀しますと女医さんから連絡がありました。この期に及んで執刀医が変わるとは不安で仕方がありませんでしたが頼るしかありません。いよいよ手術となりベットからストレッチャーに移され母が「行ってきます」としっかりとした声でオペ室に入っていきました。どうか無事におわるようにと願うばかりでした。
父は落ちつきなくウロウロするばかり。「少しは落ち着いてオペの終わりを待て」と強い口調でいってしまいました。私も落ち着いている場合じゃないけど待つしかありませんでした。何時間待ったか覚えていませんがオペ室からオペナースさんがでてこられ「オペは順調に終りましたから心配はいりません」と言われた瞬間は膝から崩れ落ちそうな気持で立っているのがやっとでした。オペ室から執刀医も出てきて乳房は全摘しました。念のためリンパも摘出しました。と肉片をみせてくれました。先生がこの乳房とリンパは研究に使いたいので提供していただけますか?と聞かれたので「どうぞお使いください」と答えオペ室から出てきた母は私たち家族をみて大声で泣きながら「ありがとう、ありがとう」と何度も繰り返していました。私が察するに相当怖かったのだと思いました。私も母の手を握り返し「成功したんで、成功したんで本当に心配したんだから」と私も泣いてしまいました。先生に深く頭を下げお礼をいいました。手術のち大部屋に移りベットに横たわる母を見て可哀そうで仕方がありませんでした。その後も検査の繰り返しで担当医の方から転移の可能性は低いでしょうと言われてた時は心の底から喜びました。母も安心したようで「ありがとうございました」と頭をさげていました。その後の治療もしばらく大学病院にかようようにとのことで了解しました。術後の経過もよく大学病院まで通う必要もなくなり地元の病院で薬をもらうようにとのことで本当に先生には感謝しています。癌という病気は本人は勿論家族の心まで蝕んでいき生きる希望さえ奪い取るような悪魔の病です。医療の世界は日進月歩で驚くほどのスピードで新薬や治療方法が進んでいます。私の母を蝕んだ癌ですがいつの日か完治できるようになると信じています。癌で苦しまれている方達を一日でも早く回復させる技術が開発されることを願っています。この世から癌が消え去ることを祈って締めくくりたいと思います。

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